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名前:浦辺 忠徳 特技:英語、スペイン語、ポルトガル語に堪能。 資格: ビジネス英検 A級 実用英語検定 1級 TOEIC 960点(990点満点) スペイン語技能検定 Ⅰ級 著書:『世界の資本市場スイス』(研究社) 研究:「米国の国防政策と軍需産業」 |
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| 1969年、東京外語大学スペイン語科卒業、大和證券株式会社入社、米国スタンフォード大学経営大学院留学、ブラジル・サンパウロ駐在員事務所・所長、アメリカ大和證券・日本企業部長、スペイン大和證券・社長、株式会社大和証券グループ本社株主業務室・部長を歴任後、2004年3月大和証券グループ本社退職2004年4月 翻訳業務開始 以降、金融専門通訳・翻訳者として、金融分野を含む、M&A業界から高い評価を得る。 |
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| Q1.翻訳の仕事はどのようにして始めたのですか? 大学が東京外国語大学のスペイン科で、就職した証券会社でも主に国際部門に従事、社命で米国のビジネススクールに留学するなど、常に語学と切り離せない環境にいました。 4年前、退職しましたが翻訳業を始めたのは自然な選択だったように思います。また、昔の同僚が企業関係の翻訳案件を持ち込んできたのも翻訳業に踏み切る契機になりました。 Q2.翻訳の力はどのように身につけたのですか? 会社員時代、実務で相当鍛えられましたが、翻訳業を始めてからの翻訳力の伸びが著しかったです。顧客から翻訳料を頂いて翻訳をするという社会的責任と緊張感が翻訳能力向上に大きく影響したと思います。プロとして料金を頂いていい加減なことはできませんからね。会社員時代は仕事の一環で語学を使っていたわけですが、翻訳業となると翻訳文自体が商品となるのですから、品質管理も心構えも違ってきます。 |
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日本語で明瞭な表現を身につけることは、翻訳力をつけるために不可欠ですが、見落とされやすい点でもあります。私自身、調査部にいた4年間にレポートを作成した経験が、翻訳をする上でも役立っているのを実感しています。日本語にせよ外国語にせよ、ひたすら書いてみることだと思います。無駄を厭っては翻訳力は伸びません。 翻訳者として求められるのは幅広い経験、教養と知識です。知的装備度を最大限に保ち伸ばす不断の努力が求められます。もともと何にでも知的好奇心を持つタイプですが、仕事の上でも南米、北米、欧州、アジアと4大陸に関わり、国際業務、調査、コンサルティング等々、広範な経験をしてきたことが翻訳をする上でも生きています。 Q3.わかりやすい翻訳にするコツとは何でしょうか? 第一に原文をしっかり読み込み、背景を理解することです。曖昧な理解から良質の翻訳は生まれません。文章の流れ、論理の流れをしっかり捉えた上で翻訳にとりかからないと、すっきりと頭に入る分かり易い翻訳になりません。とくに日本語から英語に翻訳する場合は、抜けている主語、単数、複数の区別など推測を余儀なくされることが多々あります。 日本語は論理的な表現も情緒的でファジーな表現もできる世界に冠たる懐の深い極めて高度な言語です。一方で、英語は非論理的なものは理解を拒絶する融通性の無い言語です。分かりやすい翻訳文の条件は、論理的で構成する単語、文章の位置づけが明瞭なことです。 言葉は意思伝達の最も重要な手段です。翻訳の使命は伝達したい内容を正確に伝えることに尽きます。当たり前のようですがこれが基本であり、翻訳に自分の恣意や拡大解釈、縮小解釈も入れてはならないと考えています。原文からの逸脱は許されません。ことさらに凝った表現にする必要はなく、場合によっては危険です。母国語でない翻訳者に表現を創作することは許されません。翻訳の要諦は、簡単明瞭、理路整然、内容豊富、懇切丁寧です。 文法の基本は押さえておく必要がありますが、これは必要条件であって必要十分条件ではありません。文法的に正しい表現が、全て正しい英文であるとは言えません。文法とは現実にある言語から法則を見出して整理、体系づけたものであり、まず文法ありきではありません。文法に頼りすぎると機械翻訳のような無味乾燥な訳文になりかねません。 分かりやすい訳文とは、文章の流れ、語彙がその言語を母国語とする人たちにとって日常使われているものとの齟齬が無く、自然に受け入れられる文章です。翻訳の作業は日本語を外国語に移し替えることではなく、あてはまる表現、語彙を見つけ出す作業です。 自分の外国語(あるいは日本語の)メモリーの中から、最も該当する表現、語彙を検索して原文に沿って構成する作業です。 そのためには、絶えず外国語の表現、語彙をインプットしてメモリーの容量を大きくすることが求められます。毎日の積み重ねが大事です。英語らしいシャープな表現を身につけるためには実務的な文章や、雑誌、新聞など読み込み、語感を鍛えると共に、使えそうな表現を自分なりに整理しておくと役にたちます。その言語を母国語とする人たちが抵抗なく受け入れられる分かりやすい翻訳をするには、発想自体を切り替える必要がありますが、そのためには毎日の努力が欠かせません。 Q4.もっとも得意とする翻訳は何ですか? 国際証券マン、調査マンとしての経歴から、経済・金融関係(年次・四半期財務業績報告書、マーケットレポート、調査報告書、プレゼンテーション資料など)や会社案内や営業報告書などIR関係の翻訳を多く手掛けており得意分野といえます。 文化的な翻訳、音楽、芸術関係の解説書、案内書のようなものや、社会活動の資料、雄パンフレット類の翻訳も得意であり、翻訳の面白さを感じる分野です。 基本的にはジャンルを限定せずに、挑戦していきたいと考えています。 Q5.そのような仕事の中で大変なところはどのようなことですか? このようなことを申し上げると注文主に失礼かと思いますが、原文の日本語の解釈で悩むことが意外にあるのです。翻訳するために必要にして十分な情報が盛り込まれて、論理一貫性のある文章であれば楽なのですが、日本語自体の解釈に時間をとられることが間々あります。 |
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ジレンマは、翻訳者は納期という与件のもとで仕事をする訳ですから、プロとして完璧でありたいという欲求と時間的制約の板ばさみになることです。納期を理由に安易に品質の妥協をする翻訳者は長期的には自分の首を絞めることになります。多次元方程式を解くような、難しいところです。 翻訳は、基本的にこの箇所は訳せないと放棄することは許されません。無論、注文主でなければ絶対に分からないところは確認を求めるべきですが、インターネットで事実関係、背景、語彙などをチェックするなど、自分でできるところは頼るべきではないと思います。原文の背景、注文主の意図まで推測して、関連情報をチェックするのは、かなりしんどい作業でもあります。気負った言い方をすれば、翻訳は【言葉の格闘技】といってよいのではないでしょうか。 Q6.自宅での仕事の仕方について教えてもらえますか? 翻訳業を仕事としてみれば自宅であれ事務所であれ物理的に場所が変わっても基本的には同じです。自宅で翻訳をするメリットは、時間の制約がなく専念できることで、翻訳のように発注、納品日程が必ずしもレギュラーでなく柔軟な対応が求められる業種には適しています。場合によっては、徹夜も余儀なくされますが、通勤時間、体力のロスが無いことは大きなメリットです。 デメリットは、仕事と私生活のメリハリが無くなりがちであることです。自宅にいても基本的な勤務時間を決めて、仕事と私生活の区別をすることが肝要です。身だしなみを整えて、職場モードに切り替えます。電話は別に専用電話を設け狭くても、邪魔されない仕事用のスペースを確保すること。小さい子供などがいると、翻訳に必要な集中力の持続が難しくなります。これには、配偶者を始め家族の理解と協力が不可欠です。 翻訳は孤独で精神的エネルギーを相当消耗する作業です。散歩や趣味など定期的なリフレッシュは欠かせません。これも、自宅で仕事をすれば自由裁量で出来るので、難しいことではありません。 Q7.今後は、どのような仕事を手がけていきたいですか? プロジェクトの最初から終わりまでに関わる翻訳など、自分の翻訳が注文主の業務に貢献していることを実感できるような仕事がしたいですね。基本的に翻訳者の仕事は自分との闘いであり、人に頼れない孤独な作業ですから、そういうフィードバックがあれば次のやる気につながります。 書籍関係の翻訳など、目に見える形で残る仕事も手掛けたいと考えています。社会に文化的に貢献していることを時間できる満足感と、自分の名前で訳文が出ることは大きな魅力です。翻訳の分野的には、常に新しい分野にも挑戦したいと考えています。 Q8.スペイン語も専攻され、通訳もされているそうですが、語学の 勉強で、気をつけているところはどのようなところですか? またどのようにすれば、上達しますか? 語学の習得で大事なことは、言語に対する畏敬の念を持ち続けることではないでしょうか。夫々の言語には、数千年にわたる人類の営々たる営みと文化の背景があります。言葉を大事にすることは人の思想、自分の思想を大事にすることだと考えています。私が東京外国語大学で学んだことは、文化の深い理解を欠いた語学の学習をしてはならないということでした。当時、会話の授業は殆どありませんでした。 言葉は完璧を期しても、実際の歩留まりはそれよりかなり低いのが現実です。ただ、言えることは、9割でよいと考えたら、歩留まりはさらに大きく下がるのは確実です。かなわぬと知りながらも、納期など制約条件の中でのぎりぎりの精度を求める基本姿勢が大事であると考えています。 通訳の場合は、自分として不安感がない程度まで、通訳するテーマ、目的にそった関連情報の収集、必要と思われる表現、語彙の再点検など、ぎりぎり準備することが必要です。ただ、翻訳との違いは、通訳の現場においては、世に中に自分ほどできるものはない位の自信、自負を持って望まないと、関係者に頼りのない印象を与えます。準備段階と現場での気持ちの切り替えが必要です。 基本的には翻訳にせよ通訳にせよ受注業務です。どのような注文が来ても狼狽しないで済むように、日ごろから自身のキャパをぎりぎり高める毎日の努力が必要です。まさしく、【ふと見れば何の苦も無き水鳥の、足にひまなきその動きかな】です。翻訳、通訳を単なる生計の糧と考えている人には、この業務は絶対に向いていません。 人により語学能力の向上には自分に適した方法があってよいと思います。言葉に対する飽くなき好奇心と愛情があれば、実力は自然についてきます。最後に私が常に心がけていることは、本国人が読んで全く違和感のない翻訳、通訳です。本国人が一拍を置いてから、「ああ、そうか」と理解するような翻訳、通訳はベストとはいえません。 本国人が違和感を感じるかどうかは、文章全体の構成、流れと文章、語彙によります。このうち文章全体の構成と流れは、原文が与件として与えられている場合が殆どですから、自ずから限界があります。家と同じで、建てつけを許される範囲で調整する作業です。 違和感のない訳文は、文法的知識よりも、相当量の外国語を読み、聞き、話すことで少しづつ蓄積されるものです。私自身、この蓄積作業だけは長年続けてきました。膨大な時間をかけ、僅かな上澄み分だけが長期的に蓄積され、ある時点で化学変化を起こしそれらしい表現が可能になるといった感じがします。量はある時点で質的変化をします。そして、その量は中途半端な量ではありません。 翻訳にせよ通訳にせよ、それぞれの言語の発想の根源からするように心がけています。小手先のことでは、本当の趣旨は十分伝わりません。通訳、翻訳は決して言葉を移し替える作業ではなく、自分の中に築いた外国語脳と日本語脳の間で、検索を繰り返し対応する表現、語彙を適確に当てはめていく作業であると考えます。 Q9.実務翻訳を目指す方へのアドバイスをお願いします。 言うまでもありませんが、実務翻訳の場合、訳文の背景には常に実態があることを厳しく認識する必要があります。特に数字や事実関係の誤訳やミスは、顧客である企業に予測しがたい損害を与える可能性があります。企業サイドでの再チェックを期待すべきでなく、納品段階で再三原文との相互チェックが不可欠です。字体など編集上の問題は見た目の問題ですが、内容のミスは重大です。企業サイドの再チェック機能が弱い場合は、とくに注意が必要です。 翻訳の日程が厳しい場合は難しいですが、納期に融通が利く場合は何が起こるか分からないので若干の余裕をもたせることです。納期に追われた仕事にはミスがつきものです。翻訳が基本的に終了した後、若干の時間をおいて再点検することで、ミスの発見率は高くなります。基本的には、最初に訳出する際に最大限の注意をするに越したことはありません。校正をする場合、単に読み下すのではなく、赤ペンでチェックします。 翻訳の過程で、矛盾点や理解不能な点があれば、注文主に確認をすべきです。気づいているのに、原文を理由にその労を省くのは誠意ある姿勢とは言えません。ただ、まとめて質問する配慮は欠かせません。注文主との共同作業で瑕疵のない訳文を作るという姿勢が評価されます。注文を受けたら、顧客の訳文の文体、体裁、用語など条件をきちんと確認しないと無駄な作業になり、やり直しで納期を逸することにもなります。すでに、注文主が英文資料を作成している場合、決められた文体や用語があるはずですから、そのベースを踏まえた上で翻訳を進めます。 フリーランスの翻訳者には厳しいかもしれませんが、和文外国語訳の場合は、どんなに自信があってもネイティブによるプルーフは不可欠です。日本にいる外国人で話し言葉は完璧でも、書かせてみたらその日本語が我々日本人にとって違和感のないものであるか考えれば分かります。それと同じことです。プルーフを担当してくれるネイティブの協力者を確保する必要があります。 実務翻訳は無駄の無い引き締まった文体が要求されます。引き締まった文章にならないのは、実務文の基本的パターンが身についていないこと、語彙力の不足が主な原因です。実務文の実例を出来るだけ読み込みインプットするとともに、使えそうな表現、語彙を整理しておくと役にたちます。例えば、文章の出だしの表現を身につけると、文章間の繋がりをつけ全体の流れを整えるのに役立ちます。 |
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