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2009年06月15日
grace様
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氏  名 grace
上智大学文学部英文科卒(1987年)。大学在学中に、英検1級を取得し、以来20年間以上、英語関連業務は、幅広くこなして参りました。(外資系企業役員秘書、海外勤務、英語大 学非常勤講師、英語教材作成、英語勉強法講 演、執筆など。)この幅広い経験を生かし、現在はフリーランス通訳者(同時通訳まで)として(翻訳も)日本だけでなく、アメリカ、アジ アにも出張させて頂いております。精通業種は、金融、契約、医薬、マーケティング等です。
TOEIC:990点(2006年2007年連続2回)
オックスフォード英検上級、通訳検定2級、英語科教諭免許など取得しております。


学術論文の翻訳につきましては、今までに、経営(企業に関する研究300ページ)、医学(WHO HIA報告書200 ページ以上)、環境(カリフォルニア州の風力発電所報告書100ページ以上)など様々にやらせて頂きまし た。日英翻訳につきましても日本人の日本語理解能力 を生かして、わかりやすく的確な英語を使用出来ると 自負致しております。
日中外交史に関する講演逐次通訳(「アメリカン大学教授」来日時)(東京)
F1ドライバー、ヤルノ・トルーリー選手(トヨタ)のデンソー工場におけるトークショー同行、逐次通訳(愛知)
不妊治療に関するカウンセリング(夫婦と在米クリニックの担当ドクター)逐次通訳(東京)(複数回)
東京モーターショウにて、ボルボ本社(スウェーデン)役員らによるプレス対応の逐次通訳(幕張)
JPモルガン(米国本社)「アジア・バンキング・フォーラム」における、プレゼンテーション逐次通訳(東京・大阪)
ボッシュ社(ドイツ本社)の労使関係定例会議時のウィスパリング、逐次通訳。四半期決算報告と超過時間改善に関する交渉(東京)
英系ヘッジファンド(スペシャリストヘッジファンド世界3位)創業者及び香港在住パートナーによる企業訪問(ソニーフィナンシャル、野村ホールディングズ)時、逐次通訳(東京)
WHO(世界保健機構)の欧州(EU)担当者を招聘し、岡山大学主催のシンポジウム及び研究会(同時通訳、ウィスパリング、逐次通訳)。大気汚染に関するガイドラインについての講演。
JICA-Net Seminarにおいて、ODAの一貫として、「財政分権化」及び「企業経営」に関する遠隔セミナー時、Q&A時の通訳(東京)(4月下旬に3回)。
SWIFT(金融機関コード)主催の「ビジネスフォーラム」開催時における、イベント準備時の打ち合わせ担当者(香港)への通訳(6月~7月:逐次通訳、東京)。
香港貿易発展局主催「香港・深セン 融合に向かう中国の近未来都市」セミナーにおける、コンサルティング・ファームの個別コンサルティング(逐次通訳、東京)。
8月上旬:慶應義塾NY学院主催のサマーキャンプでのゲストスピーカー講演(東京)(ポケモン生みの親:久保雅一氏&映画監督:黒沢清氏)の逐次通訳。
9月上旬:国際建材会議、海外講演者の講演及び質疑応答時、逐次・ウィスパリング通訳(東京)


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Q1.通訳の仕事はどのようにして始めたのですか?


最初は、大学を出て、外資系の銀行と航空会社で外人役員の秘書業務を行いました。その間、通訳の友人がいたので、その人を見て通訳のことを仕事としてみるようになりました。 しかし最初から、通訳になったのではなく、海外勤務(中近東)を6か月行った後、ある程度、交渉力をはじめ自分の仕事力に自信がついてから本格的にフリーランスで通訳を始めました。それでも、平日は翻訳を中心とした秘書業務以外にダブル・トリプルワークを通じて、英語力を磨いていきました。20代、30代は体力任せに、仕事のオファーは通訳以外も全て受けていました。


Q2.通訳(同時通訳)をするきっかけは何だったのですか?


元々、大学在学中に英検1級に合格したことが「英語の仕事」を選択するきっかけでした。ここでもの凄く嬉しかったのはもちろんですが、自分の語学力に自信がつきました。同時に、海外に出かけて行くことで英語が本当に「国際語」であることも実感出来ました。ここ、5~6年位で同時通訳(ウィスパリング含め)の必要性がとりわけ高くなり、同時通訳のトレーニングを行い、技術を磨きました。


Q3.同時通訳の力はどのように身につけたのですか?


同時通訳の学校に長期に亘って行くことはしませんでした。ただし、自分でシャドーイング、サイトラ(サイトトランスレーション)を行っていくことで徐々に力をつけたと思います。「通訳技術」を短大講師として教えたことも良かったとおもいます。しかし、自分の通訳をクライアントから褒められるようになり、自分なりに納得行くパフォーマンスが出来るようになるまでに通算10年はかかったと思います。通訳(英語)の道に終わりはないと感じています。


Q4.わかりやすい通訳にするコツとは何でしょうか?


私はとにかくたくさんノートを取ります。内容も出来るだけ詳しく書きます。リテンション(保持)、リプロダクション(再生)能力も重要です。また、同時通訳の場合は、特に即時性が重視されるため準備が欠かせません。私の場合は1日の同時通訳の場合、前2日間をあてて、十分に準備します。声の大きさも重要です。いくら正しい訳をしても、オーディエンスに聞こえなければ意味がありません。下を向いてつぶやくと通訳者の声は通りませんから、意識して声を出します。またYOU TUBEやFENなど、ナチュラルスピードのネイティブの英語をシャドーイング(少し遅れてリピート)することで正しいイントネーション、発音の訓練も行っています。


Q5.もっとも得意とする通訳は何ですか?


分野は絞っていません。ただし、個人的には、各種商談、セミナーなど、内容が比較的堅いものを得意としています。


Q6.そのような仕事の中で大変なところはどのようなことですか?

やはり、原則、フリーランスとして仕事をすると、同時に複数の仕事をたくさん受けて 大変になることが多いということです。今は、できるだけ仕事がバッティングするようなことはしないようにしています。やはり、長く続けていくには健康管理、時間管理がとても大切ですから、体力を考えてエネルギー配分をしながら仕事をしていくべきだと思います。

Q7.自宅での仕事の仕方について教えてもらえますか?


自宅にいても、必ずスケジュールに従って仕事をしています。原則、2時間仕事して15分休憩の間隔で仕事をします。食事、睡眠などでストレス管理に気をつけ、英語には絶対に毎日触れて英語の感覚を鈍らせないようにします。また、通訳の前日は事前準備に時間をかけ、睡眠も十分とります。同時通訳の場合、一回の業務に2日間準備をかけます。パワーポイント資料等は暗記して、極端な話、自分でもセミナーが出来る程度まで徹底的に準備します。それが自信、ひいては通訳のパフォーマンスにもつながると思うからです。


Q8.今後は、どのような仕事を手がけていきたいですか?


通訳としては、体力の続く限り、ずっとやっていきたいですね。また、今後は書籍翻訳などにも積極的に取り組んで、ライフワークとなる翻訳を手がけたいいと思います。作家として、著作にも是非挑戦したいと思います。


Q9.語学の勉強で、気をつけているところはどのようなところですか?
   またどのようにすれば、上達しますか?



まず、何か目標を決めることをお勧めします。私の場合は、英検から始まった英語の資格試験でした。言葉を学ぶ場合、海外留学が不可欠ではないと思います。国内、海外に限らず、とにかく、圧倒的なインプットをしていかないと良いアウトプットは出来ません。新聞、ラジオ、テレビ、インターネットを活用し、小中学校では日本語をまずしっかり「読む」、また、受験英語も十分役に立ちます。通訳になるのは社会人になってから、企業に勤務しながらでも十分準備出来ます。


Q10.同時通訳を目指す方へのアドバイスをお願いします。


まず、英語で何をしたいのかまず決めることが大切です。英語を使えると自分の世界観が変わります。職業の幅もぐんと広がり、人生の選択肢が大きく増えます。通訳になりたいのならば、現役通訳者の話を聞くことを是非お勧めします。英語の勉強方法として、私は、中学生ぐらいから、ずっと、A4版の単語ノートを作っていました。両方を半分に折って一つの単語を書くと、発音、アクセント、日本語訳、活用、派生語、前置詞を含む語法、熟語など関連項目を出来るだけ書き込み、毎日最初のページから見直していきました。見直した単語にはチェックを入れながら、何冊も何冊もノートを作りました。ラジオ講座も大いに活用しました。 こうした積み重ねで、英語力が急カーブを描くようにアップしたと思います。「継続は力なり」を置き換えて、「継続こそが通訳力なり」という言葉を通訳志望の方へ贈りたいと思います。
2009年02月12日
英語通訳翻訳A子
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氏  名  英語通訳翻訳A子
学歴
1972年 日本生まれ
1991年3月 神戸女学院高等部卒業
1995年3月 東京大学文学部英語英米文学科卒業
1995年4月 東京大学人文社会系大学院修士過程入学 専攻英文学
1997年3月 東京大学人文社会系大学院修士過程単位取得後中退
資格
1990年8月 実用英語検定1級
1996年6月 TOEIC 965 点
1996年12月 通訳案内業国家資格
2002年7月 BATIC(英文会計)アカウンタントレベル取得
2002年10月 ファイナンシャルプランナー3級
経歴
1991年 東京大学在学中より、フリーランス通訳、翻訳開始
主な顧客:マーケティングリサーチ会社、服飾メーカー、出版社
1995年 東京大学大学院進学 同時にメーカーにて半導体営業部門にて通訳、翻訳
1997年 同大学院修士過程単位取得後中退
単行本の翻訳家、通訳ガイド、フリーランスの会議通訳として就業、クライアント多数
1998 年5月−12月 米国企業日本支社、ウォルトディズニーアトラクションズ等の企業にて社長、VP付通訳、その後ディズニー業務にて半年間アメリカカリフォルニア州在住
2000年1月−現在まで フリーランスの会議通訳、翻訳家として日本で活動
(電力会社依頼でワールドカップ放送電源プロジェクト通訳。自身も社内翻訳/通訳として活動他、全国配置の通訳の統括、指導も兼任。)
フリーランス通訳

【経験業種】: 金融・証券・生命保険・流通・テクノロジー全般・IT・政治経済・報道・企業監査・エンターテインメント・ゲームソフト・情報通信・医療機器・医療(症例レポート・症例セミナー等)・建設不動産・観光振興・食品・外食産業・政府関連・農業・臨床・オルタナティブメディスン・超VIPへの取材
民放でのVTR編集や同時通訳その他

現在、国際会議やテクノロジー関連、投資家への説明会、学術会議、テレビ同時中継等の同時通訳、外資系の社内会議、商談、一般通訳、翻訳など幅広く活躍中。


Q1.通訳の仕事はどのようにして始めたのですか?


『大学時代に先輩から引き継いだアルバイトで、香港からの洋服バイヤーの方のアテンドをする仕事でした。そのあと別で外国人による日本国内での映画のロケに同行する仕事もしましたが、当時は文学研究や編集者の仕事がしたいと思っており、通訳を職業にするつもりはありませんでした。


他に在学中にNPOのボランティアで通訳をしたりもしましたが、これは参加者の皆様の熱意が凄くて大変やりがいがあり、一生の思い出です。


実際に仕事として始めたは、大学院の修士課程の後でした。ビジネスマンに随行したり観光地をガイドしたりする仕事も兼ねながら徐々に仕事の幅を広げていき、ある時期、エンターテインメントやIT関連の社内通訳も経験しました。


1人のボスについて、社内・社外の色々な方とお会いする通訳は責任も体力的にも大変でしたが、そういった自分の体力の限界を知る(1日何時間までだったら出来る、とか・・)様々な種類の会議の場数を踏んで、色々な状況に対処する力がつきました』



Q2.通訳(同時通訳)をするきっかけは何だったのですか?


『やはり先輩から紹介していただいたアルバイトや、ご縁のあった方や依頼元から紹介していただいたお仕事などを通してそういう方向に流れていったという感じです。


意識的な部分としては、同時通訳を引き受けられるまでには教室にも通って相当、意識的に努力しました。


これまで色々な方からチャンスを頂いたり、励ましていただいたからこそ続けてこられただけで、自分の強固な目標があって今日の自分が実現できた、というわけでは必ずしもないように思います・・・』



Q3.同時通訳の力はどのように身につけたのですか?


『スクールの同通コースに通いました。あとは自宅でCNNを録音したものに、自分で同通の練習をして吹き込んだテープを聞き返したりして練習しました、これは今も続けています』



Q4.わかりやすい通訳にするコツとは何でしょうか?


『「要点の整理」「相手を意識しながら意思疎通」でしょうか。勝手に大幅にはしょる行為は許されませんが、話者のスピーチが100語あるとして、100語全部同じ重点があることはありえません。逐次の場合は聴衆が通訳し終わるのを待っていますし、話者が1分のところ通訳者が3-4分も使っているのは効率が良いとは言えません。


一般的に人が会議の場で、考えながら発言する自然な話には重複部分が出てきますので、メモ取りをしながらまずは情報を整理して、ある程度、冗長さをなくし、ロジックをきっちりと押さえます(因果関係なのか順接、逆説なのか等)。このあたりは通訳学校の厳しい授業に感謝です


また、小学校の頃から高校大学まで、国語や古文・漢文などもしっかりやっておいて良かった、厳しく教えていただいてよかった、と思う部分です。日英や日仏など、日本語と外国語の通訳を目指そうか考えるにあたって、「子どもの頃、国語が好きだったかどうか」は重要な分岐点かもしれません。


仕事が一段落している時期に、むさぼるように日本語の本を大量に読むときがあります。脳がインプットを欲しているのかと思って、手当たりしだい色んな分野の本を買ったり借りてきたりして読みます。最近は世界の古典文学の素晴らしさを再発見して全集読みしています。


情報を取り入れつつロジックを組み立てていくのはコンピュータのプログラミングに近い感覚で、それを瞬時に行うので脳には確かに負担はかかります。


けれど通訳者を介して「相手を理解したい、伝えたい、聴きたい」という参加者全員、交渉相手双方の強い意志に支えられて業務を遂行できていることを常に意識して感謝しています。


精神論的ではありますが、通訳をしていると没頭しがちですが、自分ひとりに負荷を背負い込んで仕事をしているような感覚は持たないほうがいいです。「私がやるから任せてください」では他人の協力や情報を拒んでいる状態で良くないのです。


ちゃんと準備してきていても、周りの皆さんに「わからないことだらけです、皆さんは分野の専門家でいらっしゃる、お願いします、助けてくださいね」と心底、謙虚でオープンでいるとうまくいきます。極端に言えば、ある意味プロとしての気負いとか自負心を捨て、伝達のためのツール=道具になりきることが重要です。

会議に同席する場合でもブースに入っていても、下を向いたりメモばかり見て小さな声でぶつぶつ言う通訳は皆さんに眠気を催させます。よく通る声で明確に発音して聴衆に負担をかけないようにします。


英語日本語両方で、テレビやラジオなどで、ナレーターの方やアナウンサーの方の話し方、アクセントの付け方などを聞いて、時々なぞってみるだけでも、とても勉強になります。』



Q5.もっとも得意とする通訳は何ですか?


『回数を重ねているので、やはりIT関連や経営財務一般、IR通訳、企業の会議や訪問などでしょうか。他にも環境やテクノロジー関連、投資セミナー、教育、環境関連など国際会議やフォーラムの同時通訳もやっています。


メディアでのお仕事も多いので時事関連や英語圏の社会や文化歴史に関する話題にもそれなりに詳しいほうかもしれません。


しかし好評をいただいたのは、音楽やエンターテインメント関連、それにイタリアの建築家の方による歴史的建造物に関する講演の通訳というのもありました。やはり文化理科系にまたがるような貴重な講演で興味深いテーマということで事前の下調べに力が入るのですね』



Q6.そのような仕事の中で大変なところはどのようなことですか?


『下調べ、事前準備に尽きます。それから当日までに資料がいただけるかどうか、講演者がちゃんと来日してくれるかどうか。


当日にプログラムが大幅入れ替えとか、機材の故障とか、はては電車が止まってしまわないかとか・・・


心配しはじめるときりがありませんので、新しい話題や分野のお仕事を引き受ける場合には、1週間前ぐらいまでに徹底勉強し、あとは資料に基づいて単語を頭に入れ、余裕を持って仕事に望むようにしています。


それでも、当日「終了」となるまでは、気が抜けません。2日、3日とある場合は、特に初日の朝が緊張の極致です。それで滞りなく進むうちに徐々に安心し、パートナーの通訳者とともにささやかな達成感のなかで幸福感(ハイな感じ)にも浸ることができますが、次の仕事が来たらサッと頭を切り替えてまた緊張です。


そういった緊張感と安堵感の波に乗りつつ、好奇心と前向きさを失わずにいれば楽しいです。』


Q7.自宅での仕事の仕方について教えてもらえますか?


『帰宅したら次の会議の資料が届いていることが多いので、まずは開封したり添付書類をチェックして返事が必要なものはします。1ヶ月以上先のものはペンディングの棚にまず入れておいて、勉強が必要な書類から、やっていきます。


関係ありそうなHPを日英両方で読んで単語を拾っていきます。エクセルで単語リストを作り、最初は、どうしよう、分からない!とパニックになっても、とりあえず2,3日、それを作った後、寝ます。そうするうちに記憶の中にだんだんと安定的に入ってくるのです。


一読して分からなかった資料が頭に入ってくるようになったりします。そういう流れを作っていくのは緊張しますが、少しずつでもわかってきた時の嬉しさはかけがえのないものです


その他、エージェントとの交通費の精算だとか報告、経費申告のための領収書の整理とか、いろいろな雑務もフリーの仕事で発生します。だいたい21時過ぎぐらいとか、仕事が入っていない平日にゆっくりやります。』


Q8.今後は、どのような仕事を手がけていきたいですか?


『今後は家族が増えることもあり、自分が死んだ後ぐらいのスパンで考えて、どんな科学技術、生活や社会制度になっていくのかという事に興味が向いています。大きな視点から見て、どんな業界も仕事も、直接・間接的に、全体として人類や社会が前進するのに貢献していると考えています。


今後も、ご縁のある仕事をこつこつとこなしていく事に変わりはありません。』



Q9.語学の勉強で、気をつけているところはどのようなところですか?
   またどのようにすれば、上達しますか?



『語学の勉強というよりも通訳として心がけている事で言いますと、自分の訳出したものが、たとえ辞書的には正確であっても、聞き手に分かりやすく伝わっているかどうかを常に気にします。字幕でも、同通でも、限られた情報枠の中のなかでは優先順位付けが必要になります。


話し手が何を伝えたいのか、聞き手が何を得たいのか、なるべく情報入手したり、その場の雰囲気で掴んだり、場合によっては、直接お尋ねします。


講演者に対して、「今日の講演でのキー・メッセージは?」とお尋ねすると、講演者も事前の頭のリフレッシュになって、気持ちが新たになる場合もあり、単に通訳者が質問攻めにするというよりも、本番を前にして互いにコンディションを整える意味合いがあります。


この日のために長い準備を重ね、自分の名前でキャリアを賭けて臨んでいる講演者と、出来る限りの準備をして緊張の中で臨んでいる黒子の通訳者のあいだで、お互い顔を見た上で信頼関係を築くことも大事なことです。


ネット時代なのでリサーチもある程度できるようになりましたし、事前にクライアントにお伺いできる場合はお聞きしますが、この「このような場合に、どこを優先して伝えるか」という部分では、もう経験値がものを言うことは間違いありません。これまでいっしょに組ませていただいた、場数を踏まれた先輩通訳の方に、常に敬服し、刺激を受けるのもこの部分です。


語学の勉強でも通訳翻訳業も同じだと思いますが、やはり日ごろからの幅広い読書や、色んな雑誌とかニュースの見出しを眺めておき「へえ、こういう世界があるのか」と間口を広げていくことが大事と思います。


そして専門的な本、ノンフィクションを両方の言語で沢山読むべきですね。やっぱり一冊、本を読んだら興味の持ち方が違います。


語学そのものは一旦置いておいて「こういうテーマをやりたいし伝えたいから学ぶ」というものがあれば早く上達できるものだと思います。


英語でブログを書こうとか、好きな人(最近で言えば人気のオバマ大統領とかでも)のメッセージを原文で理解したいとか、小さなことでいいと思います
『何のために学ぶか』アウトプット先を見つけることが鍵だと思います』



Q9.通訳家を目指す方へのアドバイスをお願いします。


『まず逐次通訳だから楽というわけではありません。情報量の多い講演や会議では、ドンドン情報をアウトプットできる同通がかえって楽な場合もあります。


逐次通訳は、静寂の中、今はバイリンガルかつ、その道の専門家も多い中で「私の訳し終わりを待っている」というプレッシャーにさらされるのも緊張を強いられます。


同時・逐次というものを上下で考えず、徐々にずらしながら、筋肉をストレッチしていくような感覚で、少し違ったスキルを身につけるような感覚で取り組まれてはどうでしょうか。


最近では時間が足りない会議の中、クライアントも、「逐次で」といって雇ってくれたものの、急に「ここは同時“的”な感じで手早く・・」という場面も無いとはいえません。


もちろん同時通訳は複数名で対応しなければならず、1名体制では基本的にNGです、そのことをエージェントを通して報告し、次回から改善を求めるのは全く適切なことです。


ただ「(体制の問題でなく)スキル的に逐次のみしか遂行できない」という制限がある通訳者は、時間が有効に使えないために敬遠されることもありますので、安定した同通スキルはフリーランスでも社内でも、必須で身に付けたいスキルといえます。


英語のスピーチなどが入ったCDを音声のアウトとインが両方あるカセットデッキでかけながら、自分の同通訳をテープ録音するというのが一番勉強になりましたのでおすすめです。


今は色々な英語教材や音声がネットで簡単に入手できる時代ですから、自宅でどんどん練習できると思います。


また、好きな分野や、好きな人の書いた本やウェブサイトを日・英両方でたくさん読んでおくのもいいことです。好きな分野をもてれば、エージェントも依頼しやすいですし、自分も積み重ねになって楽しいのではないでしょうか』


ありがとうございます。


今回の内容は、通訳翻訳者としてだけではなく、仕事を持つ人その仕事にプロとして臨む人にとって、心構えや準備という面で大変参考になる内容でした。

特に、通訳という職業は、憧れの職業ではあるけれども、そのとき限り、一発勝負で、非常にプレッシャーの高い仕事であるぶん充実感が高く、誇りを持ってのぞめる仕事だなと感じました。

特に幅広い分野をカバーする、「英語通訳翻訳A子」さんの場合は、準備に終わりがなく、自分の好奇心と仕事への興味を高い次元で組み合わせて楽しみながら仕事をしているという印象を受けました。

今後とも素晴らしい仕事を、期待します。
2008年07月11日
O.F.E 様

IKEAとのビル管理契約の通訳。
港区、NPO Ai-portでの翻訳責任者
フリーズ・フレイム社にて翻訳・通訳責任者
アシストジャパン㈱にて翻訳・通訳責任者
雑誌「グルメキング」でのレストランや料理の翻訳
各種映像、テレビ番組での通訳

GABA英語学校での英語教師(初級者から上級者まで)

ワシントン大学卒業(シアトル、ワシントン州)  Bachelor of Arts, International Studies Major--- Bachelor of Arts, Japanese Minor

日本・米国、両国にそれぞれ10年以上滞在経験あり。
日米両国の会社に勤務経験あり。
日本語・英語両方のソフトウエアの両方に対応可能。


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氏  名  O.F.E
Q1.通訳の仕事はどのようにして始めたのですか?


私、自身は現在、2児の母親ということもあり、フルタイムの仕事が出来ません。

そのため、通訳の仕事はパートタイムでも時間効率がいいのと、育った環境も 母がアメリカ人で家庭では英語での会話が中心で、聞き取り、会話にも問題が なく、以前から頼まれてやったことがあったため、先ずは、通訳を選択しました。



Q2.通訳(同時通訳)をするきっかけは何だったのですか?


結婚、出産後に仕事を始めようとしたときに、自分の持っているスキルを 見直しました。実際、学校を卒業してからは1年ほどのオフィスワークしか していなかったので自分が生かせる仕事をまず考えました。

そこで最初は、英語を教えることを始めましたが、やはりある程度時間的な 束縛があることで、現在は子育てもしながら出来るフリーランス の通訳者・翻訳者の仕事をしています。 また、主人が米国人なので、以前は米国に住んでいましたが 日本では通訳の仕事の需要があるので、今年から再開しました。



Q3.同時通訳の力はどのように身につけたのですか?


中学を卒業するまでは、日本の公立の学校へ行っていました。 その後、父の仕事の関係で、米国の高校へ入学しました。 やはり、日本の中学から米国の高校はかなりきつかったですが、 一年くらいで、英語のレベルは追いつくことが出来ました。 大学では、通訳の授業を受けました。

また、通訳という仕事は経験が重要だと思います。

最初は安くても 良いので経験を積むことで徐々にうまくなり自信がついていきました。

また、IKEAの仕事を長くやらせてもらったことで、かなり通訳・翻訳 の力がついたと思います。
また私の場合は、父が日本人、母がアメリカ人で両国に共に10年以上在住 したという環境だったため、恵まれていました。おかげで発音などの問題も 殆どありませんでした。家庭内では英語で会話していたことが大きかったですね。



Q4.わかりやすい通訳にするコツとは何でしょうか?


どうしても、日本の英語学習からだと、単語で考えがちですが、 やはり文章全体で、考えることが重要だと思います。 スピーカーが話していることをきちんと理解して伝える ことが重要です。

また出来るだけ日本語にありがちな回りくどい 言い方を避けるようにしています。 また、英語のスピーカーと日本人では文化的な背景が異なります。 そのようなことも考えながらたとえ話でも、英語から日本語では、日本人にわかりやすい ものを心がけて伝えるようにしています。



Q5.もっとも得意とする通訳は何ですか?


現在は、長く「グルメキング」という雑誌の翻訳をやったので飲食関係には 詳しくなりました。食事の内容と、レストランのこと、特に和食関係の 語彙は英語、日本語両方で対応が可能です。

また、私自身が子育ての最中ですので、子供に関するトピックには詳しいです。



Q6.そのような仕事の中で大変なところはどのようなことですか?


知らない分野のことの場合に単語が出てこないことが最も辛いことです。 ただ、そのような時も、ひとつひとつを噛み砕いて伝えるようにしています。

また、英語も業種によっては、かなり英語をそのまま使用していることも 多いので、出来るだけ日本語の発音で伝えることで理解してもらえることが 多いようです。 クライアント様には、出来るだけ資料を事前に準備してもらうようにしています。

事前に、準備することが出来れば当日の出来はかなり違ってきます。 また、以前、オークションの取次ぎの通訳がありました。 そのようなときは、指値をしたりして金額が絡むことだったので かなり緊張感は高かったような気がします。



Q7.自宅での仕事の仕方について教えてもらえますか?


家事や子供のお迎えなど他にしなければいけないこともあるので、 出来るだけ時間を区切ってやるようにしています。

だらだらとやらないことを心がけています。 また、締め切りが決まっている場合は、終わるまで寝ないように していることもあります。 また、夜はどうしても子供が寝た後にやるようになりますね。 当日いただいた仕事は当日中に終わらせるように心がけています。


Q8.今後は、どのような仕事を手がけていきたいですか?


出来れば、テレビなどでの会議通訳、来日した、セレブレティへの 通訳などもチャンスがあればやっていきたいです。

映画の同時通訳、などもさらにスキルアップして挑戦していきたい 事です。



Q9.語学の勉強で、気をつけているところはどのようなところですか?
   またどのようにすれば、上達しますか?



私の場合は、偶然もありましたが、やはり、そうせざるを得ない環境に 身を置くことが大切です。 語学を使わざるを得ないような場所だとそれに適応していきます。 日本国内でも、外国の会社で働くことや、また外国の学校に行くことが 大切です。



Q9.通訳家を目指す方へのアドバイスをお願いします。


最初はあまり仕事がないとは思いますが、少しの仕事でも探して やってみることが大切です。それがスキルを上げる方法です。 いろいろなサイトに登録してみて自分で動いて探してみることが 重要です。

また、CNNなども新聞に載っているものを自分で訳してみて 他の人が正しく訳したものと比べて添削してみると語学力が あがってくるはずです。
2008年05月19日
N S氏
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氏  名  N S  <男>

<学 歴>
早稲田大学第一文学部英文科卒業(昭和49年)
同大学大学院文学研究科英文学修士課程終了
同大学院英文学博士課程中退

サイマルアカデミー 通訳者養成コース本科(IS)終了(平成8年)

<職 歴>
駿台予備学校で英語科講師を10年間、サイマルアカデミーで通訳科講師を8年間務める
平成8年から平成14年 (株)サイマルインターナショナル 会議通訳
平成11年から現在   (株)GLOVA 会議通訳

<資 格>
昭和47年    英検一級
平成 3年    TOEIC 955点 (p.r.99,9%)
平成 9年    通訳検定一級


国土省・環境省主催 排出ガス規制に関する国際シンポジュウム 同時通訳
財務省主催 アラブ首長国連邦との租税会議
外務省・警察庁主催 東南アジアテロ対策会議 同時通訳
東大主催 国際シンポジュウム アジアの大都市に於ける持続可能な交通政策 同時通訳
ニュージーランド歳入大臣 日本記者クラブ講演
政策大学院大学主催 「遺伝子関連発明の活用に向けて」国際セミナー 逐次・同時通訳
生物多様性国際シンポジュウム 同時通訳
国内大手自動車トラックメーカー 予算テレビ会議 同時通訳
ベルギー製薬メーカー 国内営業会議 同時通訳
統合失調症治療薬セミナー 同時通訳
SAPジャパン主催 「日本版SOX法対応への戦略」セミナー 同時通訳
ディレクトマーケティングセミナー 「地域属性データソフト活用法」 同時通訳
国内大手製薬メーカー ITシステム導入のための定期電話会議 同時通訳
カナダ大使館主催 <画家エミリー・カーの芸術> 同時通訳
ドイツ証券主催 <地方債セミナー> 同時通訳
国内大手生命保険会社 ホールセラー会議 同時通訳
ロック歌手リッチー・コッツェン氏雑誌インタビュー

そのほか多数

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Q1.通訳の仕事はどのようにして始めたのですか?


中学生になって初めて英語を学校の教科として勉強するようになりに、音声としての英語に魅力を感じました。いつか英語が話せるようになりたいという素直な気持ちがその後も持続しました。大学生の頃、アポロ11号が月面着陸した時に、同時通訳という仕事があることを知り、通訳という仕事に憧れを持ちました。ただし、海外に住みたいという気持ちは、あまりありませんでした。

通訳者になるまで、海外には一度も行ったことがありませんでした。語学の勉強のよいところは、読む・聞く・話す(音読)は寝転んでいてもできるところで、文学かぶれで、怠惰な私にも向いています。

予備校の教師を長年やっていましたが、他の多くの先生と教え方が反対で、人気がありませんでしたので、大手の通訳学校に通い、本科を終了して、通訳者としてやっていきたいので、是非お願いします、と懇願しました。



Q2.通訳(同時通訳)をするきっかけは何だったのですか?


私自身は、逐次(通訳)でも同時(通訳)でもそれほど大きな区別はありません。逆に、逐次通訳のほうがかなり難しいなと感じる場面がよくあります。リテンションといって、発言内容を一時的に記憶し、メモを頼りに正確に訳すスキルは、話されているテーマについての充分な知識と、通訳現場での長年の実践が必要です。優秀な会議通訳者はリテンションの力が非常に高いといわれています。同時通訳でも、正確で判りやすい訳出をするには、この能力は必須です。


大学で文学を専攻し、言語に関わる仕事をしたいと思っていましたが、通訳者になる上で、文学を専攻したことは、直接的には役に立つことはないようです。(却ってマイナスになると言った方がよいかも知れません。)
私は、長年かかって、それを無理やり強引にくっつけました。



Q3.同時通訳の力はどのように身につけたのですか?


先ず、大切なことは一般的な語学力(英語力)をあげることでしょう。そのためには、ネイティブの英語が参考になります。私の場合は、米国のテレビドラマを繰り返し見ました。例えば、「刑事コロンボ」「奥様は魔女」などが中心で、今でも見ています。聞き取れないところはテープを止めて何度も聞きました。

また、いわゆる「情報」が短時間に次から次へと押し寄せて来るニュースを聞くことも大切です。最近ではこちらのほうが主眼となっています。語学的訓練という意味もありますが、同時代の社会で起きている出来事の背景的理解を持つという意味において重要です。TBSの夕刻のニュースやBSで放送されている米国のニュースが個人的には好きで、英語の方を聞いています。


例えば、最近良く出てくる「ねじれ国会」が、「divided parliament」など訳されていますが、これはすぐ自分の通訳現場で使えます。

長い不景気が続いた十数年前には、高度経済成長期を振り返って「行け行けどんどん」と言う表現が使われましたが、これは“happy-go-lucky”などと訳されていました。
辞書などにはあまり載っていない英語も学べます。また、米国のニュースで最近頻出する”home equity loan”など自分で辞書を調べずとも、通訳者の日本語の訳を聞けば、概ね適訳がわかります。

また、語学習得の最も基本となるのは音読です。自己形成期を英語圏で長年過ごして高い英語力を身につけた方は別として、意味の良くわかった英文を繰り返し音読することは、頭の中から日本語訳を追い出して、英語を英語のまま、音声の流れていく順序で理解する能力を身に付ける基本となると思います。同時通訳の先達 国弘正雄氏が、40年ほど前の著作「英語の話し方」以来一貫して主張されていることです。

ただ、予備校講師の経験から言うと、多くの学習者が、英文の意味を理解するというところで苦労して、日本語に訳せばおしまい、というのがいかにも残念です。(私はこのようなやり方を「ヤクセマスヒロコ」と呼んでいましたが、不人気の原因となったようです。)意味の判ったまさにそこから英語の学習が始まるのですから。

音読が功を奏したか否かの証拠は、かなり長いパラグラフでも、日本語相当部分を誰かに言ってもらえば、正確に英語で再現できるかどうかで判ります。10年ほど前、当時東大先端研教授の野口悠紀雄氏が、国弘氏の著作には触れず、ほぼ同じ方法論を提示しました。



Q4.わかりやすい通訳にするコツとは何でしょうか?


やはり、通訳するトピックについて、背景知識を持つということに尽きます。例えば、医薬品業界からの業務の打診や依頼があったとして、あまり実績がないのでとすぐにあきらめず、時には蛮勇を奮って、クライアントから提示された資料を調べたり、それでたりない場合はネットで調べたりして本番に備えることも必要です。

もちろん話し方は、聞きやすくはっきりと誤解がないようにします。内容を知らないと、わかりにくくなりがちです。

英語に訳出する場合は、聴衆にネイティヴがいないか、若しくは少ない場合は、一部の慣用表現の使用は避けた方がいい場合があるかもしれません。例えば、「その件はまだ結論は出ていません。」を”The jury is still out on it.”と訳しても、オーディエンスによっては通じないこともありえます。



Q5.もっとも得意とする通訳は何ですか?


これといって得意・不得意という形は作らないでやってきました。(通訳者は、omnivorousであるべきだという身の程知らずの考えからなかなか抜け出せないからかもしれません。)ただ、これまでやってきた回数・経験の多い分野が、敢えて言えば得意になりつつある分野といえるかもしれません。通訳エイジェントのコーディネーターが鋭意努力をして折角獲得してきた、或いは、獲得しようとしている案件を、私を信頼して私に廻してくれているのですか、お断りするのは、MOTTAINAIと考えてやって来ました。

やりやすいという面からいうと、日本語、英語いずれの発言でも、音声面でも論理的にもarticulateで整理されている内容は非常にやりやすいです。

また、逆にやりにくいのは、篠田顕子氏の名言にある通り、かなりの早口・ひどい訛・支離滅裂の3要因の何れかが存在する場合です。3拍子揃う場合もあり、言うまでもなく、うまく訳せません。



Q6.そのような仕事の中で大変なところはどのようなことですか?


特殊なソフトウェアー関連の2日間のセミナーで、事前に膨大な資料が送付され、いざ読んでみると、非常にテクニカルで、技術者向けの内容でした。通訳者になってから初めて、この仕事は自分には通訳できないかもしれないと言う不安が脳裏をぐるぐるよぎるも、一旦お引き受けした手前、お断りことも出来ず、ストレスを殆ど感じない私には珍しく身体不調の症状が表れました。そして、通訳日当日、専門用語に惑わされ過ぎないようにに注意して、テクニカルな発言内容の表層の意味だけでもなんとか伝えようと孤軍奮闘した時のことは、今でも良く覚えています。

また、通訳者は音声が命ですから、音声が良く聞こえない場合は辛いですね。


特に同時通訳の場合は大量の情報が、音声という形を取って津波のように押し寄せてきますが、音声が良く聞こえず、しかも難しい内容でも、とにかく中断してしまわないようにつなげていかなくてはいけません。
このような時は、あまりに完璧主義に陥らないで、発言者の最も重要な意図を汲み取るように努力しまう。いわゆる、「木を見て、森を見ず」になってはいけません。間断なく連続する言葉の連なりの中から情報を切り出して、発言者のメッセージに何とか食らいついていかなくてはいけません。



Q7.自宅での仕事の仕方について教えてもらえますか?


通訳者の仕事場は、自宅以外の通訳現場ですが、自宅にいるとき何をしているかで、その通訳者の実力や将来性が半ば決まります。私の場合、海外在住経験は一切ありませんので、プロになっても、やはり、外国語である英語のproficiencyを絶えず高める努力を惜しんではいけないと思っています。

その一環として、衛星BSで放送されている米国のABCニュースは、可能な限り視聴しています。ニュースは情報の伝達が基本ですが、ニュース放送の末尾のところでは、それだけに止まらず、言語の持つもうひとつの重要な機能、ある意味で文学的(時には詩的)機能性の現代的実例を時折見ることできます。短い時間のうちに、言葉のplayfulな使用により、人間の内面や尊厳を的確に表現していて、最近では、英語学習の宝庫であると思いようになりました。私は、DVDにニュースを録画し、ポータブルDVDプレーヤーに持ち歩いています。少し時間が出来たときに外でもイヤフォンを使って聞いています。

それと、数十年間、TBSの夕刻のニュースを英語で可能な限り聞いています。新聞は、KAORI SHOUJI氏と浜矩子氏の記事が掲載されるJAPAN TIMESを購読しています。

英語を聞き、且読み、その意味が良くわかると実感できる分量を絶えず一定以上に保つ事ができれば、特定の通訳案件の為の事前準備と併せて、通訳現場に向かう際の不安感や恐怖心を少しでも軽減する事ができます。


Q8.今後は、どのような仕事を手がけていきたいですか?


最近、一般にも公開されている国際会議の仕事を頂くようになりました。私に信頼を寄せて頂いているコーディネーターとの関係を大事にしながら、更にこちらの仕事を発展させて行きたいと考えています。

また、田舎のおじさんや子供、一般には光の当たらない人々の話す、世間からかき消されそうな、聞き取りにくい言葉を伝えるような報道関係の通訳も、敬愛する同僚たちと一緒にやって行きたいと思います。



Q9.語学の勉強で、気をつけているところはどのようなところですか?
   またどのようにすれば、上達しますか?



専門家の研究や先行する優秀な通訳者が指摘するように、語学の勉強は、10年間コツコツやるのではなく、短期間(2年くらい)に詰め込んでやるとある時期急激に伸びると言われています。

もし、そのような時期が来ないとしたら、その方法論自体か実践法が間違っていると思って見直したほうがいいと思います。多くの人は学校に通えば上達すると思いがちですが、学校には必ずしも通う必要はないということを実証する優秀な通訳者を私は何人か知っています。



Q9.通訳家を目指す方へのアドバイスをお願いします。


クライアントから通訳者へ通訳の依頼がある場合、クライアントは通訳者に語学力だけでなく、通訳をする分野の知識をも求めている場合が多いと思います。ですから、知識の裏付けのある語学力が必要です。私が言うのもなんですが、自分の得意分野があるかどうかは大切だと思います。ですから、背景の知識に裏打ちされた通訳力を身につけることが必要です。

自分の専門分野を需要が高い分野で決めて、そこからやってみることもひとつのやり方です。そして、ひとつの基礎部分が出来たら次の分野に移っていくというのがいいのではないでしょうか。 私は、そういうやり方をする贅沢に恵まれず、異端として自転車操業を繰り返してきました。

また、情報さえ伝達できればよい、とせず、出来れば、それぞれの言語のintegrityを大切にしたいと思います。

最後に一言。それは、通訳者の仕事に欠かせない通訳コーディネーターの献身的と言っていい努力です。これまで会議通訳として何とか仕事が出来たのは、彼らのお陰といっても過言ではありません。本当の黒子(unsung hero)とは、彼女たちのことではないか。
2008年05月13日
HM 氏
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名前:HM


中央大学法学部法律学科卒業
大手電機メーカーにて翻訳部勤務経験6年
大手通信メーカーにて海外営業経験10年
携帯電話事業者にて国際ローミングネットワーク関連業務7年
NHKテレビ番組通訳、現在フリーランスとしてIT、電気、通信、契約書、各種マニュアルの翻訳、通訳を幅広く手がける。



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Q1.翻訳の仕事はどのようにして始めたのですか?


もともと、大学時代から英語が好きでした。特に判例法主義を採用している英米法に興味を持ち、かなりの部数の関連書物を原書で読みました。

電気メーカーに入社し、専ら通信機器関連の翻訳をやりました。

きっかけといえば、そのころからです。


Q2.翻訳の力はどのように身につけたのですか?


やはり、何といっても経験は大事だと思います。特に表現力は、ネイティブが話したり書いたりしているものを、いい表現だと感じたら、必ずメモしていました。絶対に、わからないままに適当に済ませないというのが重要です。

意味が通じないのに、そのまま提出すると二度と仕事は来ません。

わかるまで調べて、それでもわからない場合は、専門家に聞いて、その文章のコンセプトを理解し、自分自身も専門家に負けない程度の知識を身につけるつもりでやらなければいけません。


Q3.わかりやすい翻訳にするコツとは何でしょうか?


やはり、ネイティブの書いたマニュアルなどから自分の英語力では使えそうもない表現は抜き出し、最も適切な日本語の表現と対応させメモしておくことが大事です。そしてその表現を何時でも自由に使えるレベルにまで高めることができればいいでしょう。

また、日本語でも、英語でも、読んでもらって表現の正確さを確認してもらう
ことも大切です。


Q4.もっとも得意とする翻訳は何ですか?


私の経歴から、IT関係全般、電気、通信、製鉄、自動車などの分野でマニュアルや、また契約書などが中心です。


Q5.そのような仕事の中で大変なところはどのようなことですか?


これは通訳も、翻訳もそうですが、日本語の意図、思想がまとまって
いない人の通訳や翻訳はできないということです。

やはり、言葉には何かを伝えるという意図がないと意味がないので、それがしっかりとしたものは逆にやりやすいですね。


Q6.自宅での仕事の仕方について教えてもらえますか?


私は、通訳はもちろん現場で行いますし、翻訳もできれば、クライアント先でやることが希望です。翻訳もコミュニケーションですから、執筆者といつでも話ができ、また質問することができるような環境で仕事をしたいからです。

ある程度、時間を決めて行うことで生活のリズムが出ますし、体調管理にもいいですね。自宅では、CNNを見たり聞いたり、英語の原書を音読することで
日頃のトレーニングとしています。

Q7.今後は、どのような仕事を手がけていきたいですか?


これまでもそうでしたが、できれば単発の仕事よりも一つのプロジェクトに関わっていくことが希望です。

仕事全般のコーディネーター業務、資料作り、交渉などがこれまでの経験から自信を持って行うことができます。


Q8.通訳の場合、語学の勉強で、気をつけているところは
   どのようなところですか?
   またどのようにすれば、上達しますか?



私は、個人的に大切だと感じていることは、スピーカーが言ったことを一方で聞きながら、他の言葉に置き換え、それをどのくらい頭の中に保持していられるか?だと感じています。

長時間の会議で、緊張を維持しながら、内容を正確に伝えていくことは大変ですが極めて重要なことです。

そのためには自分の専門分野についてまたは、その与えられた仕事についての知識を正しく持ち、技術などに慣れていくかが大事です。

また文章を区切って、正しく簡潔に伝えられているかも極めて大切です。


Q9.実務翻訳を目指す方へのアドバイスをお願いします。


技術屋さんになる必要はないが、自分の専門分野に興味を持つことは極めて大切です。また、日ごろから業界の動向や新技術についての情報収集も欠かせないと思います。

もちろん、クライアントさんにわからない部分は聞き、自分でも調べていくことは専門性を高めていく上では本当に大切なことです。それに加えて、正しい、信頼できるネイティブの表現を盗むということは欠かせません。